ラフレシアの系統解析


Floral gigantism in Rafflesiaceae.
Davis CC, Latvis M, Nickrent DL, Wurdack KJ, Baum DA
Science. 2007 Mar 30;315(5820):1812.


表紙のラフレシアの写真に惹かれて目を通す。


ラフレシアといえば、根も歯も茎も持っていないくせに花だけは直径1メートルにもなる巨大なものを咲かせるという、超有名な寄生植物。


その形態は極めて特異であり、従来のような外見をもとにした系統分類は非常に困難であった。こういう場合には分子系統学的解析が威力を発揮するわけだが、それですらラフレシアには分子進化の加速や異常なんかがあったりして一筋縄ではいかなかった、というのが背景らしい。


それでも、以前の仕事でキントラノオ目に属するところまでは分かったので、今回はその目のなかでどのへんから分岐したかを調べた。結果、ラフレシアの仲間はトウダイグサ科の中に属することが分かった。


また他のトウダイグサ科などの植物はいずれも直径2.5mmほどの小さな花をつけることから、ラフレシア特有の巨大な花はラフレシアの仲間が他と分岐した後に獲得されたものであると示唆された。このことに関して、著者らが論文の末尾を「結局、大きな花の進化に関しては、謎が増えただけやん」と締めくくっているのがちょっと面白かった。


まあ、植物に関してはかなり疎いんで、トウダイグサ科といわれてもピンとこず、キントラノオ目なんてのは初耳もいいところで、「ポインセチアとか近いッス」と言われるとようやく「へぇー」ととぼけた顔で返事ができるくらいの理解度なんですがね。いちおう雑学として覚えておこうかな、と言う感じ。


にしても、今時の系統解析ではベイズ推定とかが普通に出てくるんですね。ちょっと前まではブートストラップ確率と最尤法くらい分かっていれば、論文もだいたい読めたもんですが。そのうち勉強しないとなー。